ふと、旅に出た

ブログの内容は、空の写真だったり稀に旅行記です。

Gift~あなたはマドンナ~を聴くと、ふと蘇る記憶がある

身体が上下左右に揺れる。電車の規則的な揺れには慣れているが、不規則なバスの揺れを慣れるには時間が足りないと思う。

車のラジオから流れる曲はいつも同じだ。西野カナの『君って』、JUJUの『この夜を止めてよ』、そして土岐麻子の「Gift~あなたはマドンナ~』である。あなたはマドンナという言葉が焼き付いている。それはもちろん、美しい女性が居たからに他ならない。 

当時、僕は自動車免許取得の為に宮崎へ来ていた。わずか16日間の合宿免許である。僕を担当してくれる教官は女性だった。
喋り方からして、現地の人で間違いない。髪は染めている。色白である。タバコを吸ってそうなイメージがある。というか、元ヤンに見える。ヤンキー女子。でも、すごく綺麗な女性だった。

18歳の僕には刺激が強かった。車を運転中、基本的に教官と二人きり。密閉された空間である。運転に対する不安のドキドキよりも、教官と二人きりのドキドキが強かった。特に、朝からの運転講習はたまらなかった。

シャンプーの香りがするのだ。
教官の癖なのだろうか、女性の癖なのだろうか、それは分からないけれど、教官は肩まで伸びた髪をかき上げるのだ。ふわっと香ってくるシャンプーの香りが密閉された空間に広がっていく。もう一度言う。18歳の僕には刺激が強かった。

路上教習が始まってからは楽しかった。
教官と二人きりでドライブだったから。僕は隣に綺麗な女性を乗せていることが嬉しかった。

路上教習のときに、教官が運転するときがあった。僕は助手席に座ってちらっと教官の運転する姿をみて、綺麗だなぁという言葉を心の中で言うのだった。たまに、教官にしっかり前を見なさいと注意を受けた。教官に怒られるのは辛かった。でも、命に関わることだからちゃんと受け止めないといけない。

路上教習を何回かやって、喋りながらでも運転する事に慣れてきた頃、聞いてみたかったことを言った。こんなこと、面を向って言えない僕は運転中を利用して言ったのだ。

教官は付き合っている彼氏はいるんですか?と。教官はいないよと笑いながら答えた。

 

やはり、慣れることは無かった。
不規則に揺られるのはどうしても慣れない。景色を眺めていなければ、きっと酔っていただろう。どこにでもある住宅街や田畑なのに、感慨深くなるのは何故だろうか。濃密な時間を過ごせたということなのだろうか。

最後に試験を受けて、教官とお別れ。試験受かったらジュースおごってくださいと前もって言っていたのでおごってもらった。
おごってもらっておいて、文句を言うのは失礼だけど言わせてほしい。この寒い時期に冷たい飲料水を渡すのはいかがなものか。

ありがとうございます、と言ってジュースを飲んだ。

帰りのバスでお腹が冷えておトイレに走ったことは忘れないだろう。

 

そして月日が流れて翌年の9月頃。夏に、僕と同じ合宿免許に行った人から聞いた。

 

教官、結婚してたよ

 

 


土岐麻子 / Gift~あなたはマドンナ~